これまでに一生懸命取り組んだこと(骨髄ドナー給付特約)
生命保険会社にいた時に,骨髄バンクのことを紹介したTV番組(プロジェクトX)を見て感動し,骨髄ドナーに選ばれた人が骨髄液採取手術をした時に,生命保険の入院とか手術の給付金が出るようにしたらいいのに。と思い,そんな提案書を作成して当時の社長に直接提出しました。
何で?と思われるかもしれませんが,これまでは骨髄ドナーとして骨髄液採取手術を受けても,自分の病気ではないから入院や手術の保険は適用されなかったのです。それを変えようとした訳です。ドナーになった方にお金を。というのは,善意に対して失礼という意見もありましたが,派遣社員や自営業の人にとっては,4日間休んで骨髄液採取手術を受けるのはハードルが高いこと。それよりも,保険会社がドナーの決断を応援するということが,受け入れられたと思います。
骨髄ドナーになるということは,HLA(ヒト白血球抗原)という血液の型が合わなければならず(非血縁者間だと数百人~数万人に1人しか適合しないと言われている)保険に必要な偶然性の上に成り立つから良いのではないか。ドナーが増えれば,時間切れで生きるチャンスを失う人を救える。ぜひ保険会社がドナーを応援しよう。保険が変わると人の命を救うことができる。掛け金は0円。そんな話をしていました。
でもこの提案は,法律が定める「保険とは」という定義を覆すものでした。つまり法律を変えなければ,実現しないという大きな壁がありました。提案してから3年かかりましたが,多くの皆様のお力と,幸運の女神のおかげで2005年に保険業法という法律の改正に至ることになりました。
当初から特定の保険会社だけの特約ではなく,日本中の保険会社に波及させてこそ意味があるという発想でしたので,現在たくさんの生損保会社や共済にまで波及している姿や,地方自治体でもこのような仕組みを作っていることを聞きますと,どこにいらっしゃるのか分かりませんが,この法律改正によって生きるチャンスを得た人がいるとすれば,とてもとても嬉しく思います。
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